(省略)CH2=Xのπ結合のp軌道、CH3-Xのσ結合のsp3混成軌道、CH2=Xのσ結合のsp2混成軌道、こららのどの結合の混成軌道においても電気陰性度が大きくなると軌道エネルギーが下がる。(LiからFまでこれらの関係を示した図は文献[2]を参照。電気陰性度はポーリングの電気陰性度を用いている。混成軌道のエネルギーは、同じ元素なら上に示した結合の順番で、毎に約-0.2 Hartreeずつ負の側になる。混成軌道のエネルギー/電気陰性度 = 約-0.175から-0.25 Hartreeで上に示した結合の順番で傾きがより負の値になる) 3) 混成のs性の増大とともに酸性度が増大する。sp3→sp2→spになると混成軌道の準位が低下し、電気陰性度が増大するので電子求引性となり酸性度が増す。 ◇ 電子数と系の安定化エネルギー  ※ HOMOのエネルギーは反応性という分子の動的性質(求核性など)を決める指標であるが、同時に酸-塩基反応の正反対がおもに平衡を決めている場合には、塩基の強さを示す有効な目安になりうる  2) 同族比較では、エネルギー準位が上がるほど(すなわち、高周期になるほど)、結合強度が増大する傾向を示す  エタノールのCH3基では、H原子の軌道のほうが高いエネルギーをもつので結合電子対はC側に偏る(Hδ+ - Cδ-)。この部分電荷はC-C結合に逆の極性(H3Cδ+ - CCH2δ-)を誘起し、共役塩基CH3CH2O-のHOMO(主成分nO)のエネルギーを下げる。 4) C6H5OH > CH3OH > H2O 5) 不安定化が起こるのは関与する電子数が4個である場合だけである  ΔG = - RT ln (Ka) = 2.303 RT(pKa) = ΔH - TΔS ◇ 電子環状反応 ※ 求電子剤は電子受容体であり、LUMOが重要。LUMOのエネルギーを下げれば求電子剤は強くなる  また、他の軌道はすべてHOMOよりエネルギーが低いはずだから、全電子のエネルギーが低くなる可能性は高く、熱力学的にも安定化されるであろう。 1) σ電子効果; 極性効果(polar effect)による電子供与効果(酸性度の低下)  SN1反応での電子受容体は、SN2反応と同様、C-X結合であるので、SN2反応と同じ傾向の脱離基効果を示す。ハロゲンでは以下のようになる。  HOMO(n)のエネルギー: HF < H2O < H3N  この酸性度の順序は不思議である。しかし、同一周期では原子番号の増大とともに電気陰性度(σ電子求引性)が大きくなって結合のイオン性が増大するので、水溶液中でイオン解離しやすくなると同時に、共役塩基が安定化するためこの順序になると考えられる。  Ka = [A-][H3O+] / ([AH][H2O]) = [A-][H3O+] / [AH] 2) 固体では電気伝導性はないが溶融すると電気を通す 強さ: C(sp3)-H < C(sp2)-H < C(sp)-H ◇ ゴーシュ効果の例 ウェブチャプター24 ペリ環状反応 目 次 24.1 3種類のペリ環状反応 24.2 付加環化反応 24.2.1 Diels–Alder 反応 a [4+2]付加環化における分子軌道相互作用 b 立体化学 c 位置選択性 24.2.2 1,3–双極付加環化 24.2.3 アルケンのオゾン分解 3) 共役アニオンA-が水溶液中で安定であること ※ C-C (154 pm).  [A-](H2O)n + [H3O+](H2O)x (※ 溶媒和したアニオンとプロトン。電荷があるので溶媒和が強い)  一般に官能基の電子効果はpKaを用いて議論されている。しかし、酸性度に基づく官能基の電子効果は、本来、エンタルピー変化ΔHをもとに考察しなければならない。溶媒和というエントロピーに由来する余計な因子のない条件で議論しなければ意味がないのである。  AH + H2O ←→ A- + H3O+ 4) SN1反応の反応性  零点エネルギーhν/2は微小だから、化学結合の強さは近似的に結合解離エネルギーDe = ΔE + 2Δ - hν/2 ≒ ΔE + 2Δに等しいと考えてよい。すなわち、化学結合の強度は近似的に2つの変数ΔEとΔで決まる。ただし、軌道間エネルギー差ΔEが大きいと軌道相互作用による安定化量ΔEは減少するので、この2つの変数は相互に影響を与えあう。 Diels-Alder 反応. ※ Δ*は反結合軌道と元の軌道との差、Δは結合軌道と元の軌道との差、どちらもエネルギー的に近い法の差とする  17族元素: I- < Br- < Cl- < F- (酸性度の順序: HI > HBr > HCl > HF) 3) ヒドリドH-とH+を加えるのも還元である。H-源となるものは金属水素化合物である。 ◇ 気相における酸性度 ◇ アルキル基の電子効果 ・ 結合に与る原子の(混成)軌道エネルギーは、同じ周期では原子番号が大きくなるほど低くなる 2) 塩基の強さを決定する因子 Diels-Alder 反応 − Endo 則.  ・(σ*C-F > σ*C-Cl > σ*C-Br)(LUMOが低いと電子求引性) 「GaussView」などで遷移状態(TS)の大まかな構造(原子の座標など)と電荷を指定する 2. 有名な有機反応のひとつに、Diels-Alder(ディールス・アルダー)反応というものがあります。 これは、共役ジエンにアルケンが付加して不飽和 6 員環構造を形成する、[4+2]付加環化反応です。 ここではフロンティア軌道論についての情報をまとめる----- 軌道図の描き方 [2] (例: ブタジエンとエチレンのディールス・アルダー反応の遷移状態) 1.  イオン結合はこのような二つの理由により、軌道相互作用がほとんど不可能な原子間のみに形成される。原子軌道間の相互作用がほとんどなく(Δ≒0, Δ*≒0)、集合系の分子軌道が形成されにくいので、低い軌道の元素のほうへ電子移動が起こり、結果として、クーロン引力が作用するようになる。重要なことは、このクーロン引力の大きさは、軌道間エネルギー差ΔEの大きさに近いことである。 ③ 多中心反応(協奏反応)→ 電子軌道の重なりが関与 Woodward-Hoffman 則(軌道の対称性保存) フロンティア軌道理論 (福井謙一,1981年ノーベル化学賞) ... 院で。 有機化学III 2006 本日のメニュー ① Diels-Alder (ディールス-アルダー)反応 ------------------------------------------------------------------------------ 本反応が発展した要因の一つとして「高い位置選択性および立体選択性を実現できる」ことが挙げ られる。位置選択性については福井謙一らが提唱したフロンティア軌道論によって説明される(Fig.  AH・・・・・・(H2O)m ←→ [A-](H2O)n + [H3O+](H2O)x  アルケンのヒドロホウ素化に無機ホウ素反応剤のボランBH3が用いられる。また、クロスカップリング(鈴木-宮浦反応)には有機ホウ素反応剤RBY2が用いられる。いずれも電子受容体として働く。  A:-のHOMO(主成分はn)のエネルギーが下がれば、電子供与体A:-の反応性は落ち、プロトンを受容する逆反応が遅くなって、A:-(したがって、H3O+)の濃度が高くなる。すなわち、共役塩基A:-は速度論的に安定化される。 ■ 電荷移動相互作用とフロンティア軌道 [1] 1) この表(文献[1]を参照)では、メタンが最も酸性が弱く、硫酸が最も酸性が高い となる。 ◇ 共有結合強度の支配因子 ・ 電子環状反応における回転選択性, 第一原理計算コードのセットアップから使用方法、結果の解釈の方法までを解説したホームページです.  この点ではSN2反応と同じであるが、一段階で協奏的に起こるのではなく、二段階の反応で反応中間体のカルボカチオンを経由して進む。 ◇ 酸解離指数pKa  共役塩基の安定性を考えると、分極率の大きい塩基(アニオン)のほうが電荷が広がって安定になる。すなわち、この3つの酸のうち、サイズが最も大きなアニオンC6H5O-の酸強度が最大である  酸・塩基には歴史的に二つの定義がなされている。BrønstedとLowryは酸・塩基をプロトンの授受に着目して定義した。この定義によれば、酸(acid)はプロトンを放出するもの(プロトン供与体: proton donor)であり、塩基(base)はプロトンを放出するもの(プロトン受容体: proton acceptor)となる。Brønsted-Lowry酸のことを単にプロトン酸(proton acid)とも言う。 電子還状反応の立体化学はフロンティア軌道論に基ずくと、ポリエンのhomoの対称性によっ て決められる。すなわち、共役ジエンの熱的閉環反応においてはy2軌道がhomoとなる。一方 で光照射時は励起が起こるため、y3軌道がhomoとなる。  CH3CO2- + (CH3)3C+ → CH3CO2-C(CH3)3  強い塩基のヒドロキシアニオン(-OH)との反応では、SN2反応を起こし、立体特異的にトランス異性体のみを与える。 1) 同周期比較では、エネルギー準位が下がるほど(すなわち、右に行くほど)、結合強度が減少する傾向を示す  分子での電子分布が原子状態での単なる和からずれるのは、おもに原子によって電気陰性度が異なるからである。この電気陰性度とは、分子内の原子が電子を引き寄せる相対的な尺度である。電気陰性度は一般的に次のような傾向をもっている。 ベンゼン. 2 0 obj  Kaの定義式をもとにAHの酸性度が水中で強くなる条件を考えてみよう。AHが酸として強いためには解離しやすくKaの値は大きくなければならないので、 と予想される。たとえば種々の配座異性体のうち、フロンティア軌道間エネルギー差が大きい配座異性体ほど安定になっているはずだる。 この反応の機構はフロンティア軌道 理論 ... これはこの反応の逆だから、レトロディールス・アルダー反応という。 参考文献 .  塩基性: HF < H2O < H3N 3) A-が安定になるほどAHは酸として強くなるので、A-における超共役効果(anionic hyperconjugation)も酸強度に影響する重要な要因である。電子求引基のLUMOは低いのでAのLUMOが低いほど超共役効果が強くなり、酸としては強くなると予想される。 2) A-のイオン化エネルギーはラジカルA・の電子親和力であり、これはA・のLUMOの準位と広がりに関係するので、分極率(A-のサイズ)にも依存する。したがって、気相酸性度はAHの分極率(電子雲の広がり; 分子AHのサイズ)にも関係している。分極率効果は空間を通じて伝わる効果であり、負電荷に直接影響が及ぶので電場効果(フィールド効果: electron field effect)とも呼ばれる  ※ s性: 混成軌道におけるs軌道の割合をいう。たとえば、sp3混成軌道はs軌道とp軌道が1:3の比で混ざったものなので、s性は25%である。s性が高いほど、混成軌道のエネルギーは低い。したがって、酸性度が上がる。  半占軌道をもつ化学種の代表例がラジカルである。ラジカルの反応性が高い理由の一つがここにある。ラジカルは相手が半占軌道でも被占軌道でも空軌道でもかまわず相互作用して安定になろうとするので反応性が非常に高くなっている。多くの原子は半占軌道をもつので反応性が高く分子を作る。(省略)ラジカルは被占軌道と相互作用して安定化するのでラジカルの安定性は、ラジカル中心の原子が第三級>第二級>第一級の順に低くなると予想される。半占軌道は、相互作用する被占軌道の数が多いほど安定化量が増すからである。  CH3O- > C6H5O- (酸性度の順序: CH3OH < C6H5OH) ◇ 塩基の強さ  結合の性質は、共有結合とイオン結合の間で連続的に変化し、極性結合はそれらの中間にあたる。このように、結合の一連の性質は結合に与る混成軌道のエネルギー差の違いによって区分される。エネルギー差の小さいところでは共有結合で、差が大きくなると極性結合になり、さらに極性が大きくなるとイオン結合になる。 上記1)は純粋な共有結合でΔEがゼロの場合、上記2)はその逆であり(ΔEが大きい)完全なイオン結合である。上記2)の場合、イオン結合エネルギー(安定化量)はΔEだけになる。しかし、実際には上記1)と2)の中間で表される場合が多い。たとえばC-C, C-N, C-O, C-Fの4rつの結合を例にとると、C-Cは純粋な共有結合だが、それ以外は電気陰性度の差があるために、この順にイオン性が増大すると考えられる。しかし、結合エネルギーもさほど変化しないうえ、C-F結合でイオン性が高くなっているとも思えない。フッ素を含む有機化合物であるフレオンは水に溶けずフッ素樹脂は堅牢で耐熱性が高く、撥水性の高い(表面張力が小さい)物質である。なぜだろうか? (省略) 一方、水分子の酸素原子は、酸AHと反応して、次の式のように、プロトンを受け取るので塩基とみなせる。  軌道相互作用は化学結合の形成過程とみなすことができる。その逆の過程は結合が解離する過程である。(省略)2個の軌道それぞれが1個ずつ電子をもって水平軸上を接近してくる過程を下の図に示す。, それぞれの軌道が電子を1個ずつ運んでくるので集合系には合計2個の電子がある。相互作用系はある一定の距離(平衡核間距離)で最も安定化し、全体の安定化はΔE+2Δとなる。これは、軌道相互作用の逆の過程、すなわち結合解離に要するエネルギー(結合解離エネルギー; De)に近似的に等しいとみなせる。 ◇ 求電子剤  上記の予想を裏付ける興味深い原理がアメリカのPearsonにより報告されている。「HOMO-LUMO間のエネルギー差が大きいほど分子は安定になる」という分子の熱力学的安定性に関する経験則である。理論的に完全に証明されているわけではなく例外もあるが、通常の分子の配座異性体間では、ほとんど例外なく成立することが経験的に知られている(構造が大きく異なる異性体の間では成立しない場合がある)。(省略)分子内の電子の非局在化は主にLUMOを介して起こるので、フロンティア軌道間エネルギー差ΔEが大きい分子では電子の非局在化が起こりにくい。すなわち、励起状態になりにくく、反応性も減少し速度論的にも安定ということになる。最大ハードネスの原理は分子の熱力学的安定性だけでなく化学反応性にも関係している。 ■ SN1反応 -分子内反応- [2]  反応速度を決める段階(律速段階という)は、エネルギー障壁の高い前半の過程である。この反応では、求核剤はHOMOのエネルギーの低い、弱い電子供与体が望ましい。HOMOのエネルギーが高い、強い電子供与体ではSN2反応が起こる。  ((c)は分子AとBの軌道にそれぞれ1の電子があり、それらの軌道が結合と反結合軌道を作り、結合軌道に電子が2個入る場合に該当する)  ((b)は分子Aの軌道には0個の電子、分子Bの軌道には2個の電子があり、それらの軌道が結合と反結合軌道を作り、結合軌道に電子が2個入る場合に該当する) 7) アルキル基の電子効果 ■ 種々の分子軌道法 [1] ii フロンティア軌道と反応予測.  A-H結合の強度が小さくなるとフロンティア軌道のエネルギー差が小さくなり、HOMOが高く、LUMOが低くなる傾向が見られた。結合距離が長い結合は一般に弱いから、フロンティア分子軌道と結合距離について同様の相関が見られるはずである。 なお,Wassermanの 著書40)および文献41)をも参照され たい。ジエン成分には電子供与基があると,ま た親ジ … 1) 熱許容反応(光禁制反応)では、4q+2個(q = 0, 1, 2, 3, ...)の電子が関与する同面過程の数と4q個の電子が関与する逆面過程の数を足し合わせた数pが奇数となる  同じ周期の元素では、HAの酸性はAの原子番号が大きいほど強くなる(pKaは小さくなる)。  ① 酸と塩基の相互作用  たとえば、水の分子(H2O)は、次の式で示すように、プロトンを放出するので酸とみなせる。  共役塩基の安定性; R3C- < R2N- < RO- < F- ------------------------------------------------------------------------------  pKa: 〜50 (R3CH) > 〜38 (R2NH) > 〜16 (ROH) > 3.2 (HF) 6) 共役塩基の塩基性の順序は酸強度の順序と逆になる。弱酸の共役塩基ほど塩基性が強い。塩基性の順序は次のようになる。 以上はほとんどすべての基本的な化学現象の起源に関係する非常に重要な結論である。軌道間の相互作用は表面分子軌道、特にフロンティア軌道において最大となる。表面分子軌道とは分子をファンデルワールス半径の大きさをもつ原子の集合体として表したときの表面(ファンデルワールス面)付近に張り出したMOである。分子構造の支配因子を考慮するときにも軌道相互作用モデルは有効である。化学結合の成り立ちと強さ、分子の熱力学的安定性、分子構造、酸と塩基の強さ、化学反応性など分子の基本的性質は表面分子軌道の相互作用に支配されている。 4) 誘電率の高い溶媒によく溶けてイオンに分かれる ------------------------------------------------------------------------------ 2) 半占軌道が存在する系では相互作用して必ず安定化する �����:���&�^�q6��!  C-C結合生成法として、カルベン(R2C:)中間体を用いたアルケンのシクロプロパン環への変換反応がある。  有機カルシウムおよび有機バリウム反応剤のHOMOは、上の有機マグネシウム反応剤のHOMOと似ている。有機亜鉛反応のHOMOは、有機銅反応剤と比べて金属の軌道の寄与がきわめて小さい。 ◇ 格子エネルギーは軌道間エネルギー差に由来する さて名前からだとよくわからないと思うので 超簡単にいってしまうと 以下のように ジエン体とアルケ … Diels-Alder(ディールス・アルダー)反応 について解説するよ。 1.Diels-Alder反応とは 2.Diels-Alder反応起こる理由 3.立体保持 4.endo則.  SN1反応における生成物の立体構造は、反応中間体のカルボカチオンを求核剤が攻撃する段階で決まる。したがって、カルボカチオンの形状から考える必要がある。カルボカチオンはカチオン中心のC原子のまわりに三つの結合電子対があるので、VSEPR理論から平面三角形でsp2混成をしており、空のp軌道がその平面の上下に広がっている。 ◇ ホウ素反応剤 C=C (134 pm), C≡C (120 pm)  酸-塩基反応において、酸H-Aはプトロンを失い、共役塩基A:-には孤立電子対が残される。アニオンの孤立電子対のn軌道は、分子中で最も高いエネルギーの軌道なので非局在化して安定化しやすい。したがって、酸H-Aの共役塩基A:-の孤立電子対の安定性がHAの賛成の主因になりうる。 ・ 共役塩基A:-のHOMOのエネルギーが低いほど、HAは強い酸である <>stream ※ 同じ原子でも混成軌道のエネルギーはs軌道の割合が増えれば下がる(p軌道の割合が増えれば上がる)ことを表している 3) アルキル基によるA-の安定化(酸性度の強化)  ここで述べる有機リン反応剤は、ウィッティッヒ反応剤ともよばれ、C-P結合をもつ有機リン化合物である。代表的なものはトリフェニルホスホニウムイリド(Ph3P+-C-R2)で、トリフェニルホスフィン(Ph3P)のP原子とカルベン(:CR2)のC原子が結合した形をしている。実際はホスホニウム塩Ph3P+-CHR2から塩基で脱プロトン化して合成される。  厳密にはpKaの解釈においては溶媒効果が無視できない。酸の強さを測定する溶媒として通常使われてる水溶液中では、次の式で示すように、酸AHは何個か(m個)の水分子で溶媒和されている。これが解離してプロトンを放出しても、生じる共役塩基A-はイオンであり電荷をもつので、AHよりも水分子によって大きく溶媒和される。ヒドロニウムイオンも溶媒和されているので解離平衡系の右の溶媒和がかなり大きくなり、平衡系のエントロピー変化(分子集団としての自由度の減少)はきわめて大きいだろうと予想される。エントロピーSの減少は自由エネルギーGの増大を招くので不利である。 ④ 混成効果 4) アルキル置換はHOMOを上昇させるため塩基性を強める  したがって、官能基の電子効果を厳密に議論するには、孤立分子の酸性度、すなわち、気相の酸性度を分子の絶対酸度(absolute acidity)の尺度として用いなければならない。 VASP+phonopy (Fe2VAl-dfpt, 2x2x2 primitive cell), VASP (sequential calculation, simple version), Ubuntu 16.04 LTS (64bit) beginners' course.  求核置換反応(SN1反応)は二段階で進む反応で、反応速度を決める重要な段階は分子内反応である。もともと分子間反応に対して提案されたフロンティア軌道論を分子内反応に応用するには、結合間の反応と見なして、その間の結合性軌道(分子のHOMOに相当)と反結合性軌道(分子のLUMOに相当)の相互作用を考えればよい。 2) ΔE = ∞ → 完全なイオン結合(結合強度 = ΔE) (2005). 3) 分子内反応の軌道論 ◇ 配位結合と電荷移動錯体 ペリ環状反応は1960年代半ばにR.B.WoodwardとR.Hoffmanによって分子軌道の対称性を用い、この特異性を説明し、また、福井謙一はフロンティア軌道論によって説明した。これによって、Hoffman、福井はノーベル賞を受賞している(1981)。 ・ 同じ族の原子では、原子番号が大きいほど電気陰性度は小さい /Count 0 /Resources . -~'ii庄司化学温故知新 写真1福井謙博士(1918-1998) ラ丘井謙博士が1952年に発表し,1981 年ノーベ iuiル化学賞iこ輝いたフロンティア軌道理論, この homo-lu moの概念はどのように成立し,また現在の 化学にどのような影響を与えているだろうか. ・ 非経験的分子軌道法(ab initio MO法)  この理論は、電子対で占められた軌道が相互作用すると反発を引き起こす、という理由に基づく。分子は、価電子対の間の反発が最も小さくなるように、できるだけ互いに遠ざかるような結合角をもつと最も安定な幾何構造になる。これを原子価殻電子対反発(Valence shell electron-pair repulsion: VSEPR)理論という。  分子の中では電子が動き回っている。この電子の動きを非局在化(delocalization)と呼ぶ。電子の非局在化の方向が官能基の電子効果(電子求引性または電子供与性)に大きな影響を及ぼす。分子内のすべての電子が自由に動き回っているわけではない。分子表面に存在する電子だけが、ある束縛条件のもとに動き回れるのである。 ◇ シモンズ-スミス反応剤 ディールス・アルダー反応では,共役ジエンの電子に占有される最もエネルギーの高い分子軌道(前出の結合性π軌道,Ψ2 )の電子が,熱エネルギーを得てアルケンの分子軌道に送り込むれる。 の三つの条件が必要である。A-H結合が弱くイオン的で、共役アニオンA-が安定であればAHは水中で酸として強くなる。 ◇ 還元剤 ・ 最もエネルギーの高い結合性軌道(π, σ)あるいは非結合性軌道(n)と、最もエネルギーの低い反結合性軌道(π*, σ*)あるいは空のp軌道とが重なるように分子内反応は起こる  化学結合を共有結合とイオン結合にあえて分けるなら軌道間エネルギー差ΔEの大小によって次のように分類できる。 Diels-Alder 反応 Otto Paul Hermann Diels (1876~1954) オットー・ポール・ヘルマン・ディールス. �"� `�Y��s�%t���=Ѓ�~���m&>]3����\CV�,j�W�t�Z ��HOJ�)��bw����)b�w6���Q��쏡jI׷��7��  配位結合のように明らかな原子間結合が形成されるわけではないが、分子間のCT相互作用による安定化で生じる電荷移動錯体もある。π電子系が関与する例が多く、もとの分子は無色でも錯体は着色している場合が多い。ベンゼンにヨウ素を少量入れると青色を呈する。ベンゼンがπ供与体となりヨウ素がπ受容体となってCT相互作用が起こった結果、弱い電荷移動錯体が形成されて長波長側に光吸収が起こる。 ※ 有機金属反応剤は強い求核剤であり、HOMOが重要 Kurt Alder (1902~1958) クルト・アルダー. 3) 固いが脆い(結晶が少しずれるとイオン間の反発力により自発的に壊れる)  ・ 第二級ハロゲン化アルキルの反応は遅い Diels-Alder反応の掟 一、電子豊富ジエンと電子不足求ジエン体 との反応が速い(場合が多い)。 二、協奏的である。 三、ジエンはs-cis配座で反応する。 四、立体特異的である。 五、エンド則に従う(場合が多い)。 六、regio選択的になりうる。